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ひらがなのおんぱれーど 〜仮名漢字交じり書きの弊害〜

ゆとり教育の弊害か、最近の人々は漢字が読めない、とよく言われます。「漢字が読めない=日本語リテラシーの低下」と短絡的に結びつけセンセーショナルに煽るマスコミの態度にも問題がありますが、新聞をはじめとする文字メディアの表記にも問題はありそうです。

正しい日本語の基準とは」のエントリで述べた通り、新聞等の文字メディアは現在の日本語の基準の一つと言えます。しかし、「炭そ菌」などという表現に見受けられるように、新聞では仮名漢字の交じり書きが平気で登場します。「炭疽菌」と書いた方が良いと思います。

もちろん、これは「疽」という漢字が常用漢字表外であるために「工夫」された結果でしょう。しかし、熟語は基本的にいくつかのパーツに分割でき、その一つ一つの部分が意味を持っています。ひらがなよりもよほど情報量があります。もちろん、いきなり「炭疽菌」と書かれれば確かに読めませんが、だったらルビを振るなり括弧で読みを示すなりすれば良いのではないでしょうか?

さて、ここからが本題です。
交じり書きをすると何が困るのでしょうか。私は、大きく以下の3つの問題があると思っています:

  1. 意味がわからない
  2. 可読性に欠け、すらすらと読めない
  3. コンピューターの字句解析で失敗しやすい
とにかく、読みにくくなるのです。新聞社側、ひいては内閣側の意図としては「漢字が読めないならその部分をひらがなに」という事なのでしょうが、日本語のような膠着型言語では、単語の区切りを字種の区切りと一致させることで読みやすくなっていることが多いので、そうした「工夫」「思慮」のせいで逆に読みにくくなっています。

常用漢字表という発想は、GHQの頃の日本語統制にさかのぼるようです。彼らには、そうした読みにくさという発想はなく、複雑な漢字を排除しようという発想しかなかったのでしょうか。

また、人間に難しいものは、コンピューターにとっては更に難解になります。よくある例題で「うらにわにはにわにわにはにわにわとりがいる」というものがあるが、これも漢字で書くべきところをひらがなで書いた結果、単語の区切りが不明瞭になってしまうという良い例です。(ちなみに、この例は、800以上の組み合わせがあり得ます)

コンピューターで日本語処理は難しいと言いますが、それ以上に、ソースとなる文自身が難解になっているのかもしれません。

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2002年06月30日 00:00に投稿されたエントリーのページです。

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