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新年は明けない

「新年あけましておめでとう」というのは(文法的に)誤った表現だと思います。

一体何が「あける」のでしょうか? 答えは「旧年が明け、新年を迎える」のです。

ピンと来ない方は、「梅雨明け」を想像してみてください。「梅雨明け」とは「梅雨が終わって夏になること」ですので、明けるのは梅雨であり、「明ける」=「期間が終わる」ということです。ですから、来年の年賀状には「新年おめでとうございます」または「(旧年が)あけましておめでとうございます」と書きましょう。新年はまだ明けません。


ところで、「これは『お湯が沸く』と同じ構造であって、文法上の誤りではない」と指摘されることがあります。ただ、このロジックは、次の2つの理由から無理があるのではないかと思います。

  • 「お湯が沸く」というのが「お湯を沸かす」の自動詞的な使われ方だとすると、対応する「新年を明かす」(?)という他動詞的表現が存在しない
  • 時間の概念として、やはり同等と思われる「夜が明ける」という表現について、「朝が明ける」という表現はありえない

(2007年正月追記)
…と書いていたのですが、しかしこれは「文法として」「正しいと解釈するのは難しい」ということであって、だからといって「それでは通用しない」と言いたいのではありません。むしろ、「文法的には正しいと解釈するのが難しくても、一般的にこれで通用する、ということがある」という例だと考えています。

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コメント (2)

Kumiko:

何年も疑問に感じていました。
「新年明けましておめでとうございます」は絶対におかしい!…と。
でも、最近ではテレビでも堂々と言っています。
それなりに地位のある方も年頭のご挨拶などの文章で平気で
書いています。 だんだん、私の方が間違っているのでは
ないかと不安になってきていました。
ですから、この「新年は明けない」の記事がとても嬉しかったです。 辞書を見ると、明けるには「新年」という意味も
含まれています。 だとしても、やはり、「新年明けましておめでとう」は「新年、新年おめでとう」と言っているようなものですから、やはりおかしな言い方といえると思います。 何年も持っていた不満、不安が解消されました!
たとえ、世間で通じでも、おかしいものはおかしい!
ありがとうございました。

tsuyoshi:

はじめまして。

このブログを読んで考えてみたのですが、
この場合いくつかの言葉が隠れているのではないでしょうか?

こんな感じで、
「(旧年より)新年(に)あけましておめでとうございます」

「新年」が主語ではないと思います。
日本語って省略が多い言葉ですからね。

と、もうこの話題、時期はずれですけど。。。

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2005年01月06日 00:00に投稿されたエントリーのページです。

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