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正しい日本語の基準とは

「正しい日本語」とは何なのでしょうか。

日本語の表現等には、一応の基準があります。その一つが内閣告示・訓令です。
内閣告示および訓令は、政府が国語審議会 (2000年に終了し、現在は文化審議会国語分科会になりました) の答申を受けて告示・訓令していたもので、有名なものに『常用漢字表』(昭和56年10月1日) 、『現代仮名遣い』(昭和61年7月1日)、『外来語の表記』 (平成3年6月28日)などがあります。
これらの告示はあくまで目安に過ぎませんが、公文書やマスコミ・教科書などが守るべき条項を細やかにまとめてあります。『朝日新聞の用語の手引き』などで見ることができるマスコミ各社の表記も、基本はこの内閣告示に従っていますので、かなり強力な基準といえるでしょう。内閣告示は今までは入手が困難だったものの、最近の電子化のおかげで国語施策情報システムというサイトで過去にさかのぼって「国語表記の基準」としての内閣訓令などを調べることができるようになっています。

国語辞典は、言葉の一般的な定義を教えてくれるものの、現代の一般的な表現方法を教えてくれるものではありません。従って、わかりやすい文章を書くため には、辞典ではなく新聞各社の『用語の手引き』を手許に用意するのが一番望ましいのではないでしょうか。

まとめると、「正しい日本語」とは、

  • 内閣が告示により推奨する日本語としての表記
  • 新聞各社が用いている表記
とまとめることができそうです。

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コメント (2)

はじめまして。国語問題に関心を持っているものの一人です。貴サイトで展開しておられる主張のいくつかにつぃて、ちょっとわたくしの考えを述べさせていただきます。

国語(日本語)を正しく、誰でも分かり易く書き、正確に意味が伝えられるような技術(文章を正確に理解して読み解くための技術にもなります)を習得するための教育は今の日本ではしっかりなされていないと思います。そのための体系的な文法なんかもまだないというのが現状です。そのあたりの認識は貴方と同感です。情けないことです。
さて、それらを前提にして、貴方の認識と私の認識の差の一つを書かせていただきます。
憲法や法律条文を記述するための日本語と、(理工系の)論文作成のための日本語は、基本的に同じだと思います。
誰が読んでもほぼ同じ意味になるような厳密で正確な文章が望まれるのでしょう。哲学論文や新聞のニュースなどもそれに近いと思います。
これにたいして、小説やら詩なんかの文章は、正確であることにくわえて、更に高度な重層的な意味、感覚的なものを持たせ、文章自体が美的な印象を与えるような工夫がなされることが多く、つまり、前者の文章よりも高い技術が必要です。もちろん、そんな工夫をすることで、むしろ文章自体が分かりにくくなったりすることもあると思いますが、それらは趣味の問題(好き嫌い)になってくるので、必ずしも貴方のいわれる文学的な文章はレベルが低い(ものも多いですが)とはいえないし、基本的にはその反対なのです。
私が最近出会った日本語勉強のためのいい本は朝日新聞の記者だった本多勝一氏が書かれた「日本語の作文技術」です。
もし関心があれば一読をお勧めします。

wassy:

コメントありがとうございます&お返事遅くなりました、すみません。

これにたいして、小説やら詩なんかの文章は、正確であることにくわえて、更に高度な重層的な意味、感覚的なものを持たせ、文章自体が美的な印象を与えるような工夫がなされることが多く、つまり、前者の文章よりも高い技術が必要です。

この部分については、おそらく「はじめに」の投稿をお読みになってのご感想かと思いますが、小説の話ではありません。

そもそも、「文系」「理系」という分類そのものが無意味であって、理系だからといって高い日本語水準が求められないというわけではない、という前提があります(ここには書いていませんけどね)。しかし、日本語が苦手だからといって理系の道を進むと、結局日本語をたくさん書く必要がある、そのときに一体何を正しい日本語というべきなのか、といったあたりを自分なりに考えた話です。「文系」だから云々というものではありません。

「日本語の作文技術」については当然読んだことはありますが、要点がピンぼけしていて、前評判ほどには楽しめなかった憶えがあります。お薦めいただいた本と同様四半世紀も前の書籍ですが、中公新書から出ている「理科系の作文技術」の方が個別具体的な例を交えながら説明があり、個人的にはこちらのほうが好みです。

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2001年11月23日 00:00に投稿されたエントリーのページです。

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