公式サイトではありませんが、 天文学科・地球惑星物理学科・地学科の3宇宙科学学科への進学に迷う人の 参考になればと思い、ややマジメに調査してみました。

第1回(そして最終回)：学生／院生アンケート

基本情報

• 調査日：6月15日〜7月いっぱいくらい
• アンケート全文

回答者の属性

• 回答者 9名(回答率45%)
• うち、天文3名、地物3名、地鉱3名
• 学年: 3年6人, 4年1人, 修2年2人
• 性別: 男6人, 女3人

回答者自身について

• 得意な分野
  • 地鉱:
    • 国語というか文学系
    • コンピュータ・数学・物理・語学
    • 地質学。
  • 地物:
    • 得意といえるほどの教科はないです。
    • とくにありません。
    • さあ?学業ならなんでもそこそこ
      好きなのは、一応物理。
  • 天文:
    • 電波天文学
    • 天文学の基礎の基礎、 力学や電磁気学、数学(主に微積分)はそこそこにできるようになった。
      あと専門だから銀河天文学には比較的明るい。
      試験を受けるだけなら英語も得意。
    • ドイツ語とか 文学・史学系の方が得意
      天文教育
• 苦手な分野
  • 地鉱:
    • 数学とか物理とか
    • 量子論
    • ありすぎて書けないけど要するに数式が出てくるやつら。
  • 地物:
    • いろいろたくさんん。
    • 美術
    • 目上の人に頼んであったことを断ること
      心理学など、人間の科学的に解明できそうもないことに手を出す学問。
  • 天文:
    • 物理数学
    • 生物と、政治や経済や歴史などの社会科にめっぽう弱い。
      あと添え字の羅列が苦手で、ときどき数式解読に骨折ってる。
    • 量子論・相対論
• 今もっとも力を入れている分野
  • 地鉱:
    • とりあえず岩石学・・・興味は火山系。
    • まずフィールドワークっつーことで、地質調査法実習
    • テクトニクス。アプローチの仕方としては野外調査主体の岩石学かなぁ。
  • 地物:
    • まだ、研究といえるほどの事はやってないです。
      どの授業も力を入れている予定です。
    • 線形代数
    • ?量子力学かな。
  • 天文:
    • 銀河系内の温度の低い星間雲
      授業としては、天体輻射論、プラズマ物理学
    • 円盤銀河中心部の力学的構造の解明
      →銀河進化・形成がわかるといいと思ってる。
    • 銀河系内の星形成分子雲の物理状態と進化
      天文教育普及

学科について

• きっかけ
  • 地鉱:
    • 中学くらいから地震火山が好きで地学系とは決めてはいたが。
      物理が苦手なため地物は断念・・・となったら決定しました。
    • 惑星の生まれる頃の話が好きだったのだけど、
      進学振り分けで地物にいけなかった
    • 最初からそのつもりでした。
      でも今から思えばもっと他のこともやっとくべきだったと思う。 反省してます。
  • 地物:
    • 虫の知らせがあった。
    • 地球と惑星と物理を愛しているから
    • 物理と地学に興味があったから。
      大学にはいった時ここに行くつもりだったから。
  • 天文:
    • 小学生くらいの頃から天文に興味があり、2年の夏に行われた
      観測実習に参加して面白かったので進学を決意。
    • 小学生の頃から科学者になりたくて
      中学くらいから天文学者になりたくなった。
      そこで出会った科学雑誌Newtonの特集「天文学者になるには？」で
      天文学を学べる大学一覧を発見、
      やはり東大だと思いそのまま入学、進学。
      ちなみにその中学生の頃Newtonで連載コラムを書いていた
      祖父江義明氏が私の初めて知った天文学者で、現在の指導教官。
    • 天文に関心を持ったのは小学の頃 (秋山宇宙特派員とかオースチン彗星とか)
      宇宙に関わる＝天文学者になる＝天文学なら東大 と短絡的に結論
      以後現在の進路一本道。
• 進学前の印象
  • 地鉱:
    • 駒場の惑地の進んだ感じ？とか思ってました。
    • 土と化石をいじっている、古風な地質学屋さん。
    • フィールド、フィールド、酒、酒、フィールド、・・・
  • 地物:
    • 物理系で、対象が地球の学科
    • 地球と惑星と物理を愛するところ
    • いろんな実験。観測。
  • 天文:
    • 天体の観測はほとんどしないのだろう、とは思っていたが、
      それ以外は正直言ってよく知らなかった。
    • 学部生は天体物理基礎課程の勉強
      国立天文台との繋がりが強いから施設的にも有利だろう、と
• 実際に進学してみて
  • 地鉱:
    • やっぱり技術屋さん養成学科の色合いが濃いな〜と。
    • かなりフィールドワークと実習が多くて、楽しいけど大変。
    • 気力、体力、プログラミング、偏光顕微鏡、フィールド、酒、・・・
  • 地物:
    • 地学と物理を足して2で割ったような感じ
    • 愛すべき学科です
    • 机の上の勉強ばかりでつまらない。
      つまらないプログラムを組むのもいや。
  • 天文:
    • 半分以上が物理学科の講義なので、結構大変。
      天文のほうに関しては、観測実習もあり、天文学のほとんどの 分野の講義があって、すばらしい。
    • カリキュラムの広さも施設環境も恵まれていると思う。
      天文学の基礎の基礎からやってくれる。
      観測や実験なども内容が充実している。
      物理学科や地球惑星物理学科と違い、約10名と少人数なので 講義の雰囲気が良く、また学生同士仲が良い。
      物理学科と違い、先生や事務の人々が非常にほのぼのして、人間的。
      アットホームな雰囲気が業界全体に漂っている。
    • こんなもんでしょう。
      カリキュラムの広さも施設環境も恵まれていると思う
      物理学が重要なことは分かるがこれほど物理学科と共通とは
• 社会に貢献するか?
• 地鉱:
  • 直接の貢献度は低いかも。
    基礎科目だし。でも災害とか資源とかそっちには強いのかな。
  • あまり思わない。 実際問題として、実益を上げにくい学科だと思う。
  • 思いませんねぇ。
    先生方が「〜という点でこの研究は社会に有益である」 って力説されても、実際はあんまり有益じゃないことが殆どのような気が。 でも役に立たないから理学部で、それでいいと思っています。
• 地物:
  • 地震の観測や火山噴火の予知、天気予報などの分野で非常に 社会に貢献していると思います。
  • 貢献しません、無駄が多いです
  • たぶん役には立たない部分が大半。
    役に立つのは地震くらいじゃない?
• 天文:
  • 明日の生活の向上や産業の発展に貢献する、という意味では、No。
    以前から学科の、というか天文学自体の存在意義を考えているのだが、 未だ答えは見つからず。
  • 社会貢献や社会への還元に対する大学や研究機関の人々の意識が あまりに低いか全く無いように見えて仕方ない。 税金の恩恵を受けているのにね。
    天文学という学問自体は社会に貢献すると信じているが 研究者の意識がこれだと日本で天文学の居場所がなくなっていくのでは ないかという気がしている。
  • 経済的社会的に具体的産物を生産するかと言う観点ではNo。 しかし、天文学という学問が積年の命題を抱き続け、 今でも人々に与える関心が高いことは、身体的な果実でなくとも 世界観や哲学認識に与える影響は存在すると思う。 特に、ロマンが誤った神秘主義やオカルティズムに流れないよう 科学者が啓蒙普及する意義は現代特に大きいと思う。
• 学科のメンバーの仲
  • 地鉱:
    • いいんじゃないのかなぁ？・・・たぶん。
    • 仲はよい。飲み会は月に1度くらい。
      男女比は6:2。
    • いいですよ。人数少なくて和気藹々といった感じで。 ３年生でも机は一人一個以上もらえるし、 家に帰らずとも控え室で生きていくことも可能です。
  • 地物:
    • 仲はいい方だと思います。 コンパはあまりないです。 でも、控室で飲んでいる人はいます。 男女比は25:4です。
    • コンパは最近ありません 男女比は7:1くらいです なかよくしてます
    • まあまあ。多分物理学科よりは。 仲良くなろうと思えばいくらでもその機会はあるはず。
      コンパは控室で適当に誰か飲んでる感じ。
      よくスポーツをしてるらしい。
  • 天文:
    • コンパはほとんどありません。学生控え室で数人で飲むことは時々ある。
      男女比は 9:2 。
    • 男 8名、女 3名。
      卒業して就職や転部した人もおり、研究室は皆バラバラだが、今も仲良し。 少人数で小回りがきくので、誰かが言い出せばすぐに飲みが始まっていた。 だからコンパの頻度は覚えてない。 院試終了後や卒業に際して小旅行にも行った。
    • 人数規模が小さい分、中では友好的に過ごしていたと思う
      男女比 8:3 だっけ?
• 満足度
  • 地鉱:
    • それなりに・・・８０点くらい。
      かなり３年生は優遇されてると思うし。 教官も丁寧に質問答えてくれるし・・・
    • 80%
      満足点: 学生間・教官間の仲が非常に親密でよい。
      不満点: 教官がやや自虐的。
    • 70点。
      待遇の良さは東大の中でもかなり上位に位置するでしょう。 教官はみんな親切でいい人ばっかり。
      しかし、うちの学科のカリキュラムが他の大学の地球惑星科学関連学科と比べて特に優れているようには思えない。 学部卒で何をさせたいのかがイマイチはっきりしない。
      あと、細かいことだがコピーカードと図書室利用時間の制限をなくしてほしい。
  • 地物:
    • 満足点は学科の雰囲気と勉強内容です。
      不満点は実習系の授業があまりないことです。
      (5学期に実験はあります)
    • 40点 ダメ学科です
    • 5〜10%くらい。確実に駄目人間になる。することがない。暇。
      真面目に勉強したい(させられたい)なら来ない方がいいと思う。
      暇なのが好きな人にはきっといい学科なんだろうけれど。
      もっとまじめに授業をして欲しい。
      物理学科にまかせっきりってのは納得できない。
  • 天文:
    • 満足度 90%
      満足点: 天文学のいろいろな分野の講義が一通りあり、ひとつの対象を いろいろな視点（波長）で考えることができる。
      不満点: もう少し実習をやりたい。（今は3年時のみで4つ）
    • 満足度：95%
      天文学の基礎の基礎は大体身についたと思う。しかし いくつかの科目では、ひとつの専門分野をマニアックに極めすぎで、 天文学の全体像が見えにくかった。
      大学院への進学を考える人が大多数なので、学生に進路を考える 材料を与える意味でも、大学院の講義のように基本的なところの レビュー＋最新Topicを広く浅く紹介して欲しいと思う。
    • 満足度：90%
      期待したのとさほど違いがない内容だったかと
      スタッフが(分野的にも人材的にも)充実しており贅沢
      計算天文学でCを教えてくれれば今苦しまなかったかも…
      惑星系関連の講義が(地惑と合同でも)あればよかったかな

進学意識

• 院への進学を考えているか？
  • 地鉱:
    • できれば・・・。 頑張ろうとは思ってます。
    • 考えている。 というか、理学部は院に行かないと意味がない。
    • 考えています。
  • 地物:
    • はい。
    • とりあえず行きそうです
    • 一応。ただこの院にいくかはわかりません。
  • 天文:
    • Yes
    • うん。今いるし。ドクターにも行くよん。
    • Oui。(今いるし)
• 卒業後もこの分野に残るか
  • 地鉱:
    • ・・・とどまる余地があるのか？というのが正直なところ。
      自分の能力しだいだろうから何とも(--;
    • 思っている。
      まぁ研究職しかないとは思うんだけど。
    • 頑張っていかねばと思っています。
  • 地物:
    • たぶん。
    • 愛してますから
    • 今考え中です。
  • 天文:
    • 興味があるのが天文と惑星科学の中間領域なので、天文だけでなく 惑星科学のほうも視野にいれていきたい。
    • うん。でも途中で気が変わったら中退就職もあり。
    • Oui。

ご協力ありがとうございました。

ざっと見ると、天文学科→地鉱→地物の順に満足度が高いようですが、これは天文学科で答えてくれた人のうち過半数が院生だったからでしょう。学部生だとどうなることやら。しかし、どの学科についても言えることですが、進学してから無駄になる教科はないと思います。地鉱に来るからと言って、数学が要らないとか体育が要らないとか、そんなことは一切ありません。