ここ10年くらいで日本でも「ねんねトレーニング」という言葉が認知されてきているようです。今せっかくアメリカにいて、子供が夜中に大声で泣いてしまっても隣から苦情が来ないような部屋の広さ&レイアウトになっていることもあって、これを試してみることになったので、WordPressの練習も兼ねてここにメモしておきます。
生後5か月ちょっとの息子は、今まで夜間にぐずり始めると妻が添い乳で寝かしつけていました。でも、どうも最近は1時間おきくらいにぐずっているようで、そのうち3~4回は授乳して寝かしつけているとのことなので、さすがにちょっと妻の負担も大きいし息子本人も睡眠が浅くなってしまっているのではないか、ということで巷で話題の「ねんねトレーニング」を開始しようと思っています。
もともと「ねんねトレーニング」は、”Every child can learn to sleep” (A. Kast-Zahn & H. Morgenroth) という書籍の日本語訳「赤ちゃんがすやすやネンネする魔法の習慣」から広がったようですが、英語版の方は既に絶版になっているようで新古品でも1万円以上し、日本語版もアメリカで取り寄せるのがちょっと面倒なので、ひとまずネット上で手に入る情報だけで進めてみることにしました。
なお、”Cry it out”アプローチ(Ferberメソッド)はアメリカで一般的なものとして宣伝されるようですが、こちらでも賛否両論あり、必ずしも広く普及しているとは言えないようです。もっとも、最近は発達科学の分野では、このアプローチを支持する研究が多く発表されています。
“Cry it out” だけじゃない「ねんねトレーニング」
Baby Center Medical Advisory Board によると、「ねんねトレーニング」には以下の3つのアプローチがあり、上記の本で紹介されているのはそのうちの “cry it out” と呼ばれるもののようです
- “Cry it out” (CIO) アプローチ
赤ちゃんを必要に応じて「泣かせっぱなし」にする手法。ただし疲れて寝るまで泣かし続けるわけではなく、後述のように泣く時間は2分間~10分間を上限にする。ボストン子供病院のRichard Ferber氏によって提唱されたものなので、アメリカなどでは「Ferberメソッド」などと呼ばれる。Ferber氏によると、赤ちゃんが一人で眠れるようになるためには、自分自身を落ち着かせる方法を身につけなければならないとし、その方法を自ら発見するために、一定の時間一人にさせることが重要だとしています。 - “No tears” アプローチ
より緩やかな手法で、赤ちゃんが泣いたらすぐあやすもの。小児科医William Sears氏の”The Baby Sleep Book”や両親学級講師のElizabeth Pantley氏の”The No-Cry Sleep Solution”などが有名。 - その他のアプローチ
小児科医Harvey Karp氏の”The Happiest Baby on the Block”などで提唱されている5Sなど。(5Sは、Swaddling=スワッドルの利用(雛巻き)、Side=脇で抱える、Shushing=耳元で「シュー」とささやく、Swinging=揺らす、Sucking=おしゃぶりを使う、の一部または全部を使って赤ちゃんをあやすものです)
こちらの病院では、「その他のアプローチ」に分類されているKarp氏の5Sを勧められ、実際に最初のうちは利用していましたが、どうも新生児期に一番適したやり方のようで、最近はあまりShushingも効果がありません。今の寝かしつけはどちらかというと “No tears” アプローチに近いかなと思いますし、おそらく日本で広く用いられているのもこの No tears でしょう(名前はついていないと思いますが)。
CIOの7つのステップ
赤ちゃんは、生後4か月~6か月くらいの間に朝と夜の区別ができるようになりますが、これがCIOの開始の前提です。つまり、毎朝決まった時間に目が覚め、夜決まった時間に眠くなるようでなければ、まずはお風呂や子守歌などを使って決まった時間に眠くなるようなリズムを作る必要があります。
CIOは、以下のステップを踏んで進めます。
- ステップ1 赤ちゃんが寝ないうちにベビーベッドなどで横にします。
- ステップ2 赤ちゃんに「おやすみ」と言って部屋を出て、決められた待ち時間の間そのままにします。赤ちゃんが泣いてもそのままにします。
- ステップ3 部屋に戻って、1~2分を超えない範囲で赤ちゃんの様子を見ます。赤ちゃんの部屋は常に明かりを消し、話しかけるときは落ち着いた静かな声で話しかけます。赤ちゃんを抱え上げてはいけません。赤ちゃんがまだ起きていても、あるいは泣いていても、時間がきたら部屋を去ります。
- ステップ4 また決められた待ち時間(ステップ2の時間より少し長めの時間)の間そのままにし、時間が経過したら部屋に戻ってまた1~2分を超えない範囲で赤ちゃんの様子を見る、というプロセスを繰り返します。この「決められた時間」は、少しずつ伸ばしていきます。
- ステップ5 部屋を出ても赤ちゃんが起きない・泣かないようになるまでこのプロセスを繰り返します。
- ステップ6 しばらく経って赤ちゃんが目を覚ました場合にも、同じプロセスを繰り返します。このとき、最小の待ち時間から始め、また待ち時間を延ばしていきます。
- ステップ7 翌日、翌々日と、待ち時間を少しずつ延ばしていきます。Ferberによれば、ほとんどの赤ちゃんは3日目か4日目に、遅くても1週間以内に、自分一人で寝られるようになるそうです。何日か試してみて効果がないようであれば、まだ時期尚早ということで、数週間おいてからまた試してみます。
上のステップ2・ステップ4などで出てくる「待ち時間」は、以下の時間が推奨されています。
- 1日目: 1回目は3分間、2回目は5分間、3回目以降は10分間
- 2日目:1回目は5分間、2回目は10分間、3回目以降は12分間
- 3日目以降:だんだん長くしていく
(たとえば3日目は、1回目は7分間、2回目は12分間、3回目以降は15分間)
どうやら、親とは独立した暗くて静かな部屋でトレーニングすること(トレーニング後にまた同室で寝るのは大丈夫そう)、起きたらちゃんと気づけること、時間をちゃんと計れること、あたりが重要そうなので、近くの赤ちゃん用品店(某T社)でモニター&タイマーを買ってこようかなと思っています。
なお、よく Cry It Outメソッドは「アメリカでは一般的で、みんな当たり前のように放置している」などと紹介されることもあるようですが、この周辺で聞いてみたところあまり一般的と言えるほどではありませんでした。また、メソッド自体は知っていても、やはり「一時的とは赤ちゃんを泣かせるのは心痛む」という人も多いようです。最近もCNNでCIOメソッドについてディベートが行われていましたし、アメリカだからと言って当然のように受け入れられている手法というわけではないようです。とは言うものの、CNNの記事中で引用されている研究が「夜中に頻繁に起きる赤ちゃんの親は精神的疲労を訴えることが多く、それがトラブルにつながっていくことが多い」と指摘するように、親が精神的余裕をなくすと赤ちゃんのためにも良くないですから、それぞれの家庭にあった形での「ねんねトレーニング」を行っていく必要があるでしょう。
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