1980-03-03
● [雑記] 誕生した
吾輩は人間である。名前はまだない。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。
何でも薄暗い消毒液のにおいがぷんぷんする所でギャーギャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは医者という人間中で一番獰悪な種族であったそうだ。この医者というのは時々我々を捕えて腹を切り開くという話である。しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。ただ彼の掌に載せられてスーと持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ちついて医者の顔を見たのがいわゆる人間というものの見始であろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。
そんなわけで、この日が誕生日。生まれた岡山では、この日はよく晴れていたらしい。
岡山県備前市、22時3分出生、3600g。
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