2012-10-30
● [プログラミング] UTF-8環境でNamazu
2012年現在、さまざまな全文検索エンジンが開発・提供されており、オープンソースなものも多いですが、その多くは全文検索エンジン本体であり、クローラーやインデクサーなどを自分で準備・構築したりする必要があったりして、結局Namazuを超える手軽なソリューションはほとんど見あたりません。また、HTMLタグに応じてスコアリングができるのは、現実的にはNamazuしかないように思われます。しかし、Namazuも、内部的にEUC-JPを利用することを前提としており、OSやウェブアプリケーションの多くがUTF-8を使うようになった今、そのままではちょっと使いづらいのも事実です。
pNamazuはNamazuのPerlによる実装ですが、実は入出力にUTF-8が使えます。ただ、オリジナルのNamazuにある言語切り替え機能(設定ファイルのLang相当)がなくテンプレートが十分に使えないこと、また、ウェブからのクエリーをEUC-JP前提で処理していることから、若干の修正が必要となります。というわけで、その修正分のパッチを以下にメモ代わりに置いておきます。
2012-02-21
● [MBA] MBAの学費(Tuition)
社費でMBAを目指しているという方から、「MBAの学費はどこも5万ドルを超えており、当社で元々社費留学用に見積もっていた予算を超え、なんとかしろと言われて調べている状況です」という学費に関する相談メールをいただきました。確かに、奨学金を利用できれば金銭的負担は軽減されるとはいえ、社費留学の場合にそう簡単には奨学金に応募できないでしょうし、また、予算の上限が設定されることもあるでしょう。(私の場合も、学費は4万ドルまでという上限がありました)
そこで、私の場合は、最初にMBAランキングに学費を加えた一覧表のようなものを作って、予算に収まる範囲内で応募しました。
以下の表は、Financial Timesの Business school ranking 2012 から上位60校のうち米国に所在する約30校分を抜き出し、さらに、それぞれの大学ウェブサイトから初年度の学費(年間あたり・留学生の学費)を調べて追記したものです。これを見ると、確かに上位校ではほとんどの場合、学費が5万ドルを超えることがわかります。私の4万ドルの予算内で応募できそうなのは、上位から、
- 43位 Georgetown University: McDonough (31,185ドル)
- 49位 Pennsylvania State University: Smeal (28,712ドル)
- 51位 Texas A & M University: Mays (32,927ドル)
- 57位 University of Illinois at Urbana-Champaign (29,975ドル)
- 59位 Purdue University: Krannert (19,994ドル)
といったところで、ランキング的には40位(世界順位)以降になってしまいます。ただ、Financial Timesのランキングは卒業後の平均給与が大きな割合を占めますが、社費留学の場合は、帰国後に給与がぐっと上がることも期待できないでしょうから、そういう点ではランキングにこだわらず予算面重視で学校を選ぶのもまた一つのやり方かと思います。
いやーしかしまぁStanfordとかの皆さんは卒業後、平均で20万ドル近く稼いでらっしゃるんですか。そりゃぁ10万ドルの学費を全額ローンで借り入れたとしても初年度には返せそうです。日本でもそれくらい手に入れば、こういう苦労はしないんですけどね。というわけで、ランキングにいくら業種別や国別の物価水準を取り入れたとしても、各国での賃金バランス(というか留学生なりMBAホルダーなりの重宝され具合)の違いために留学生比率が卒業後サラリーの平均値を下げ、結果的にランキングを下げている可能性は否めず、特に留学生として扱われる我々の場合、あまりランキングばかり気にするのは良くないと思います。
Rank '12 | School name | Weighted sal.($) | Salary inc. (%) | 学費($) | 留学生比率 |
1 | Stanford Graduate School of Business | 192,179 | 129 | 55,200 | 38% |
2 | Harvard Business School | 178,249 | 122 | 51,200 | 34% |
3 | University of Pennsylvania: Wharton | 172,353 | 120 | 56,622 | 38% |
5 | Columbia Business School | 166,497 | 131 | 55,868 | 45% |
7 | MIT: Sloan | 157,337 | 120 | 52,900 | 51% |
12 | University of Chicago: Booth | 152,585 | 109 | 53,400 | 44% |
14 | University of California at Berkeley: Haas | 146,811 | 91 | 51,246 | 42% |
15 | Duke University: Fuqua | 139,405 | 108 | 50,300 | 38% |
16 | Northwestern University: Kellogg | 145,834 | 96 | 54,000 | 37% |
17 | New York University: Stern | 134,093 | 115 | 48,320 | 38% |
19 | Dartmouth College: Tuck | 151,182 | 111 | 53,490 | 42% |
20 | Yale School of Management | 142,455 | 124 | 55,050 | 39% |
24 | Cornell University: Johnson | 141,727 | 116 | 53,796 | 39% |
29 | University of Michigan: Ross | 129,649 | 101 | 55,575 | 33% |
32 | UCLA: Anderson | 136,331 | 108 | 59,280※ | 32% |
35 | Carnegie Mellon: Tepper | 132,325 | 109 | 54,800 | 40% |
38 | University of Virginia: Darden | 134,936 | 109 | 53,900 | 30% |
40 | Emory University: Goizueta | 124,832 | 111 | 43,600 | 34% |
43 | Georgetown University: McDonough | 123,290 | 107 | 31,185 | 42% |
45 | Rice University: Jones | 118,617 | 117 | 44,000 | 25% |
46 | Indiana University: Kelley | 113,217 | 118 | 45,350※ | 40% |
49 | Pennsylvania State University: Smeal | 109,114 | 125 | 28,712 | 43% |
49 | University of Rochester: Simon | 112,992 | 129 | 45,933 | 52% |
51 | Texas A & M University: Mays | 108,606 | 134 | 32,927 | 23% |
51 | University of Texas at Austin: McCombs | 121,170 | 93 | 47,136 | 24% |
56 | University of North Carolina: Kenan-Flagler | 118,959 | 92 | 51,690 | 34% |
57 | University of Illinois at Urbana-Champaign | 105,726 | 117 | 29,975 | 41% |
58 | University of Maryland: Smith | 109,375 | 92 | 45,765 | 36% |
59 | Purdue University: Krannert | 103,304 | 112 | 19,994 | 58% |
61 | University of Southern California: Marshall | 121,060 | 94 | 55,000 | 21% |
(※…諸費用(Fees)を含んだ費用。)
3/1追記
なお、学費でもトップクラスのハーバードの学費は、2009年度には46,150ドルだったそうです(ソース:イフ外語学院)。また、数年前には33,000ドルだったという情報(ソース:MBA留学センター)もありますから、リーマンショック後にがくっとMBAの学費が値上げされたことがわかります。一般的に、ビジネススクールは景気が悪くなると学生数が増えると言いますのでそうした不況を反映してのこととは思いますが、それにしても年間10%の値上げとはなかなか極端なものです。まぁ、それでもサラリー伸び率が120%を超えてたりしますから、それでも十分な需要はあるということなんでしょうけれども。いやはや。
2012-02-12
● [MBA][講義メモ] 交渉のABC
交渉とは、2人(またはそれ以上)の参加者が、何を与え何を得るかを決めるためのプロセスと言えます。交渉においては、お互いが相手の決定に依存している面がある中で、自分の利益を最大化させる必要があります。交渉では、利益の衝突は当然発生します。しかし優れた交渉者は、一つの交渉を、綱引きのようにどちらかが勝ちどちらかが負けるというものではなく、両者が自分の利益を得られる場に変えることができます。そこで必要となってくるのが交渉のABCです。
A: 情報の収集(Acquire information)
「何が欲しいか」から「なぜそれが欲しいか」へ。
単純な交渉の例として、カップルがレストランを決めるプロセスを見ます。女性が日本食レストラン Kamakuraを希望しているが、男性はイタリアンレストラン Biaggiに行きたい、という場合を考えます。男性側の立場からすれば Kamakura はお金もかかるし(注:アメリカでは日本食の方が高い傾向にあります)行きたくありません。こういう場合、どうすれば良いか。我々は、この手の交渉につくとき、女性の Kamakura という希望は変わらないものとして考えがちです。こういう前提に立ってしまうと、お互いが自分の選択の良い点を挙げ、相手の選択の悪い点を挙げ、交渉は平行線を辿ってしまいます。しかし、女性になぜ Kamakura に行きたいのかを聞いてみると、雰囲気の良さや場所を理由に挙げるでしょう。もしかすると、実は二人の何かの記念日が近く、それを祝いたいのかも知れません。この場合、女性は必ずしも特定のイタリアンレストランを求めているのではなく、雰囲気が良く、若干高めのレストランを求めているので、これらの要望を満たすレストランであれば、Biaggi である必要はありません。このように、情報を引き出し、相手の「なぜ」(why; 英語では interes という言い方がより適切です)を知ることにより、相手の当初の「何を」(what; 英語では position)を変えることができる、というのが交渉のAです。
また、交渉の場において相手の要望を聞き出すだけが "Acquire Information" ではありません。交渉のテーブルにつく前から、周辺情報を集め、提示できるオプションを可能な限り増やしておくことも重要です。また、交渉相手が what にこだわらず why ベースの議論に乗れるよう、交渉相手を説得するのもこの部分に入るでしょう。
こうした情報の入手のためには、協力的な態度(collaborative tone)が必要で、また、個人的なつながり(ゴルフの話から入る、など)といったテクニックも有効ですが、単に仲良くなるだけではなく、情報入手という目的を忘れないことが重要です。
B: パイの最大化(find the Biggest pool of resources to share)
交渉においてもっとも大事なのは、小さなパイを取り合うのではなく、パイを最大限に拡大してから取り分けることです。パイを十分に拡大できれば、自分の取り分が増えるだけではなく、相手の取り分も増え、お互いに利益を得ることができます。ここで、交渉のAで得られた情報を活用し、互いに「何が欲しいのか」から「なぜ欲しいのか」にシフトし、互いの利益を守りつつパイを拡大させるのです。ここで重要なのは、論点を一つだけに絞り込まないこと。譲歩しやすいよう、複数の論点を設定するべきです。
ただし、人は合理的な判断を下せないということに注意が必要です。その典型例が「ダラーオークション」(dollar auction)です。これは、1ドル紙幣のオークションで、もっとも高い金額を提示した人がその紙幣を入手できるだけでなく、2番目に高い金額を提示した人も胴元にその金額を払わなければならない、というものです。たとえばAとBという参加者がいたとして、Aが15セントを提示すれば、Bは20セントを提示する、…といった形で、あるとき提示額が原価たる1ドルを超えます。しかし、途中で放棄すると1セントも貰えないどころか損をしますので、相手よりもわずかに高い金額を提示し続けるしかありません。結果、気がつくと「止めようがない」ところまで行ってしまうといったものです。過去、クラスでダラーオークションをやってみたところ、400ドルまで跳ね上がったそうです(しかも、所持金を超えるビッドを出してはならないという条件付きだった)。実社会では紙幣をオークションの対象とすることはありませんが、ペニーオークションのように、当初は破格の金額からスタートするオークションで気がつくと市場価格よりも遙かに高い金額で落札してしまうのも同様の心理のようです。また、途中まで開発費をつぎ込んでしまって後には退けなくなって破綻するまで開発し続けたコンコルドの話も、同様の話と言えるでしょう。ダラーオークションにおいて最も合理的な判断は、このゲームには参加しない、です。
また、別の例として、AとBという2人の子供に20万ドルの財産を生前分与するとき、「遺産分割の割合はAが決める」「Bはこれを承諾するかどうか決める権利がある」「Bが承諾しない場合、遺産は全額寄付され、A・Bとも遺産は受け取れない」といったようなケースも挙げられました。たとえばAが19万ドル取る提案をした場合、Bの取り分は1万ドルとなります。このとき、Bは拒否すれば手取りは0ドル、承諾すれば不利ながらも1万ドルもらえますから、Bが十分に合理的であれば承諾するはずです。ところが一般的に、Bは拒否する傾向にあります。様々な説明が可能そうですが、今回の授業では、これはBの「プライド」という無形の価値の問題(intangible issue)とし、こうしたところまで含めて価値を最大化するのが交渉の秘訣だと言います。
C: 取り分の合理的な主張(Claim your share of that pool of resources for yourself)
交渉において、一方が「妥協」しなければならない状況は、決して「勝つ」側にとっても良い交渉とは言えません。なぜなら、「負けた」側にとってはハッピーエンドではなく、次回以降必ず挽回の手立てを探ってきて、お互いに報復の繰り返しになるからです。
そこで重要になるのは、客観的な判断基準です。そのため、交渉のBで拡大したパイが誰の目にも明らかで、その拡大分を自分の取り分とすることが相手の損失にならないことを示す必要があるでしょう。また、多少の損失になったとしても全体のパイが増えているのであれば、協力関係(alignment)によって相手が譲歩してくれる可能性もあるでしょう。
つまり、自分の取り分を主張し相手に飲ませる(=交渉のCを実行する)ためには、交渉のAとBを満足に満たしている必要があるのです。
まとめ
- 「価値の創出」は、交渉における成功の秘訣。
- 価値を生み出すほど自分の取り分を主張しやすいから。
- 価値の創出と主張のためには、情報を引き出すことが重要。
- 「alignment」は、影響力のために必要。
- 協力的な態度に始まるリーダーシップによって達成される。
感想
これは結構自分の経験上なるほどと思うところがあって、多国間交渉において日本はパイを所与のものとして捉えがちだけど、本当はそのパイを拡大してから(あるいは、別のゲーム理論の授業に従えばゲームのルールを自分に有利なように変えてから)みんなで仲良く取り合うことが大事なんだなぁということ。確かに、アメリカの政府代表団なんかは、結構そういう手を使ってくることが多くて、「世界のためには○○が重要なんだ!」とか言っているのを日本は「あーまたカッコつけちゃって」と横目に見ることもあるけど、それは日本も「そうだそうだ」と言ってパイを拡大するのが本当は良いのかも知れない。まぁ、予算の問題とかもあって実際の交渉はここまで単純ではないですけどね。
2012-02-06
● [MBA] なぜMBAか
MBAのエッセーでも頻出トピックたる「なぜMBAか」。エッセー作成段階ではいろいろ野心的なことも考えたりはするのですが、半年ほどMBAの基礎の授業を受講して思うところを簡単にまとめてみます。
イリノイ大学のMBAプログラムは、2年間のうち前半1年間を必修の基礎科目のための1年とし、マーケティングやファイナンスなどの授業に充てています。一部の科目は基礎的すぎて、若干のクレームも出ていますが、様々なバックグラウンドを持つ学生が同じレベルで議論するためのベース作りとしては結構良いかなと思っています。こうした基礎科目の授業を受けた範囲内での感想です。
過去事例の習得
今まで数多くの企業が生まれ、成長し、そして市場から退場していきました。その中から、様々な事例を集め、分析し、教えてくれるのがMBAのコースです。もちろん、知識として他社の事例を学んだからといって、必ずしも自社の実例で成功が約束されるということはありませんが、過去の敗者の失敗を避け成功者の体験をなぞることで、成功の確率は高まるでしょう。一から試行錯誤して組織を作り上げるより、過去事例を学び、なるべく最適なスタート位置から始める方がずっと効率的です。特に、税金で賄われている行政機関は、試行錯誤を減らし、効率的な組織である必要があるでしょう。
人が「会社とは…」と言うとき、多くの場合、思い浮かべるのは自分が在籍したことのある会社です。営業を体験した人なら、多少は幅広い「常識」を持っているでしょうが、それでも統計上有意といえるだけの実例を経験することは難しいでしょう。MBAでは「会社」というものを、より一般的に学ぶことができます。公務員には、「民間の常識」が求められています。自らが直接接触する機会のある企業だけでなく、世界の様々な業界の企業がどのように運営され、どのような倫理を持ち、どのようなインセンティブを持っているかを俯瞰するのは、企業というものを客観的に知るのに役立ちます。
公共政策学などでは、いかに政策を運営していくかについて学ぶことができますが、その政策の運営主体である行政機関をどのようにマネジメントすべきかについてはあまり主体的に学びません。たとえば、大阪府と大阪市で二重行政と呼ばれる状態が発生しているとき、それをどのように解消すればいいのか?こうした問題を、組織のマネジメントといった観点から教えてくれるのがMBAです。組織全体の予算を一律に数%ずつ削減するよりも、ボトルネックとなっている工程にむしろ予算を付けることで全体が効率化され、結果として総予算が削減できることを教えてくれたりします。
決してすべての公務員がMBAを学ぶべきとは思いませんが、毎年100人程度が留学する中で数人くらいはMBA留学すべきではないかと考える次第です。なおMBAは学費が高いと言われますが、イリノイ大学の場合、他コースが年間220万~270万円でMBAは年間254万円ですから、特別MBAの学費が高いということはありません。
マーケティングの視点
うちの学校はマーケティング(とファイナンス)の分野に力を入れていることもあるのですが、やはりマーケティングの視点は重要だなと思います。行政機関にも様々な機能がありますが、その中でも国民とのコミュニケーションには、マーケティングから学ぶところは多いです。
マーケティングを「物を売ること」と誤解する人は多いですが、MBAにおけるマーケティングは、どんな消費者が何を求めているかを分析し、そのニーズにあわせてコミュニケーションしていくことです。たとえば消費者のセグメント化やブランド戦略といった考え方は、国民を「国民」としてひとくくりにせず、一人一人の市民が必要としているコミュニケーションを適切に行う上で非常に重要でしょう。実際、マーケティングの上手い電通や博報堂といった会社をうまく使うようになってきた文部科学省などの取り組みは、マーケティングが行政においても有効であることの証左でしょう。
したがって、マーケティングを商業活動の一環としてだけ捉えるのではなく、そういった民間における「知恵」を学ぶ場としてMBAコースは有効なのではないかと思います。
英語の上達(おまけ)
MBAのコースワークは、結構ハードです。授業ももっぱらケース・ディスカッションですし、グループワークも多い。プレゼンする機会もたくさんありますし、宿題や試験はいかにプロフェッショナルな英文を書けるかで採点されます。こういう環境なので、他の専攻に比べて英語が上達します。もちろん、それだけMBAの入学要件として求められる英語能力も高くなっています。ただ、一般的に、MBAに求められるTOEFLの点数は、他のコースで求められる点数とそれほど差はありませんし、狙ってみる価値はあるでしょう。
とはいえ、英語だけのために高い授業料を払ってMBA留学するのは無駄と言わざるを得ません。英語の上達だけなら駅前で留学していれば十分です。英語の上達は、あくまでオマケです。
留学するべきなのか
もちろん、そもそも海外ではなく国内ではダメなのかとか、公務員の留学制度自体の存在を問う声はあるでしょう。ただ、上司に突然「お前は英語ができるからこの制度に応募しろ、来年から留学だ」と言われた人が専攻を考えるとき、MBAも一つの選択肢として結構前向きに考えて良いのではないかと思うのです。
2012-02-04
● [鯖管] Namazuの代替となる全文検索エンジン(2)
あらすじ
今までサイトの全文検索をNamazuで提供していたけど、最近のLinuxはターミナルがデフォルトでUnicode (UTF-8)だし、新しく作るサイトも大半がUnicodeで日本語以外のコンテンツも作る中、Namazuはいちいちnkfを通さないと使えないし基本的に日本語しか対応していないしでちょっと不便だなと思うようになってきた。そこで、Hyper Estraier、msearch、Apache Lucene といったようなものが見つかったけど、Hyper Estraier は2007年頃に開発が終了したオワコンだし、msearch は手作り感満載で拡張性に乏しそうなので、消去法で Apache Lucene を使ってみることに。
ただ、欲しかったのは Namazu の単純な代替だったけど、それに対して Apache Lucene はちょっとハードルが高い。基本的には Java のプログラミング能力も必要だし、Tomcat などのサーブレットコンテナの運用も必要そう。で、サブプロジェクトとして Solr やら Nutch やら色々あるし、で、結局 Namazu の代替となり得るか、ということを考察していく。
体系の理解
初心者向けのスライドやそれぞれのプロジェクトホームページをざっと流し読みして理解したのは以下のこと。
- Apache Lucene … インデックス作成及び検索のためのライブラリ。入出力には Java のオブジェクトが用いられる(ファイルなどは適当に解析する必要がある)。データベースのAPIの一種と思えば良い。Namazu でいう Perl の Namazu クラスのようなもの。
- Solr … Lucene はあくまでJavaライブラリなので、もうちょっと使いやすくするため、HTTPプロトコルで入出力可能な状態にするアプリケーションサーバ。これまた一般のサイト訪問者が直接使うようなものではなく、基本的にXMLでインデックスするためのデータを渡し、GETコマンドでクエリを渡す。Namazu でいう namazu コマンドラインの RESTful バージョンだと思えば良い。
- Nutch … 指定されたURLやパスにアクセスするクローラのようなものと、実際の検索サービスを提供するウェブアプリケーションから構成される。文書変換などの機能もこのクローラで行うことができる。Namazu でいうと、クローラは mknmz (+xpdf等の変換アドオン)にネットアクセス機能を付けたようなもの、ウェブアプリケーションは namazu.cgi に相当。
インデックスの作成
検索の実行
で、数時間ほど試行錯誤してみたところの感想。
- Nutchは、外部ウェブサーバーをクロールするのが主目的で、ローカルファイルはおまけ機能のため、ちょっと使い勝手が悪い。特に、ローカルのファイルは file: プロトコルでそのままサーブされるものと想定してクロールするため、たとえばファイル中の /etc/passwd とかいうキーワードに反応してその先のファイルをクロールしにかかったりするなど、若干自分のコントロールを超えるかなと思うようなこともあった。なので、一からプログラミングし直すくらいの勢いで設定ファイル(というよりは制御ファイル)を書かないと Namazu ばりの使い勝手にならない。
- Solrは、自前のウェブサービスを立ち上げるので、ポートを空けたりするのが面倒。まぁiptablesとかで固めておけば大丈夫そうだけれども。
というわけで、感触を探っただけで一日過ぎたので、とりあえずここまで。明日に続きます。
今日の参考文献
- 初心者向けの解説資料 (slideshare.net)
- Solr チュートリアル ~初めの一歩~ (lucidimagination.jp)
- http://wiki.apache.org/solr/LanguageDetection
- http://wiki.apache.org/solr/ExtractingRequestHandler